二浪したりもしたけどなんとかなってる人のブログ

二浪はするわ占いで総額200万以上使うわ、自他ともに苦笑いされながらもなんだかんだちゃんと社会人している人のブログ。

占いで100万スッたけど何か質問ある?

私が占いに課金し始めたのは、小学5年生のころだ。

 

遊園地の片隅で1人用の事務机に貧相なテーブルクロスを広げてぽつんと座っていた中年女性に、1000円で手相をみてもらった。

小学生にとっての1000円はかなりの大金であり、このころから既にヤヴァさの片鱗を見せていたのはお分かりいただけるであろう。

 

このとき占い師から言われた一言は、15年以上経った今でも私の心に深く残っている。

 

私の手のひらにうっすらと刻まれたシワ(もはやシワなのかどうかすらあやしい薄い溝)をなぞりながら、曰く、

 

「あなた、藤原紀香と同じモテる線がでてますよ。」

 

当時、男子以上に「うんこ」をこよなく愛し、「ウエストイン」が流行する10年も前から常にシャツの裾をズボンにしまっていた私には、モテる要素も、ましてや藤原紀香との共通項もまったくなかったし、実際一切モテてはいなかったのだが、何故か「やっぱりな」とすとんと落ちた感覚があった。

 

後述するが、この「すとん」という感覚にこそ、私がそこから占いに総額100万円もの大金をつぎこむことになってしまったヒントが隠されている。

 

以来、その「すとん」を求めて、私は未成年の身分であるころからデパートやスーパーの中の占いコーナーに折に触れては足を運んだ。人々の死角ぎりぎりの薄暗い一角が衝立で仕切られていて、まともな人たちが物珍しそうに眺めながら、しかし決してかかわらないようによけて通り過ぎるあの空間である。大学生になったころには、その怪しい占いコーナーから独立した占い師に会うためにカフェにいくこともあった。最近では電話占いにはまり、たった4か月で通話料を合わせれば50万円ほどつぎこんでしまった。

 

これだけ読むと、「なんて馬鹿で単純な奴だ。きっと一度は高級なツボや水晶を買わされたに違いない」と思った方もおられるかもしれない。期待に沿えず大変心苦しいが、私は占い師から何か物を買わされたり、怪しい儀式をおこなったりしたことは一度もない。さらに説得力がないことを承知で言えば、私は普段、周囲からけむたがれるほどの合理主義者で、占い中でもスピリチュアルな話になるとうんざりしてしまって、「あなたと彼は前世では兄弟だったのよ」などと言われようものなら電話占いの途中で通話を切ってしまう。

 

ではなぜそんな私が占いにここまで散財してしまったのか。私は占いに何を求めているのか。

 

その答えは、占いが、私にとって精神衛生上いくつかの点で有益であるということだ。

 

これから、馬鹿らしいなりにも私が感じる占いのメリットについてお話したいと思う。

この記事で、「占いに大金つぎ込む馬鹿って一体どんな思考回路なんだろう」という読者の好奇心に少しでもお応えできたら幸いである。

また、占いをやってはみたいけどどんな占い師がいいのかな……と考える人のために、今後ほかの記事で、個人的ではあるが私の経験から言える最低限の法則のようなものをお教えできたらと思う。これまで100人以上の占い師に課金してきたが、残念ながらその9割はクソで金の無駄だったと言わざるを得ない。しかし最近では、わりと大外れを引くことを回避して占いを楽しめているので、私が占い師を選ぶときに気を付けていることを参考にしていただければ幸いである。

 

 

  

占いのメリットその①「自己肯定感をサプリメント感覚で補うことができる」

 

今回は、占いに課金するメリットの1つをご紹介しようと思う。

 

「私は本当にだめな奴だ」「私がだめだからあの人は私にだけ嫌な態度をとってくるのかな」「あの人はなんであんなに自信たっぷりでいられるんだろうか」

 

――自己肯定感が低く、それがさまざまな悩みに直結している人は少なくないだろう。SNSや書店を見渡しても、多くの人の心をつかんでいるのは「いかに自信を得て人生を前向きに生きるか」というテーマに関する記事や書籍だ。

 

特に、子供のころから親に「ダメな奴だ」と言われてきた人、いわゆる毒親持ちは、なかなかその呪縛から抜け出せない。私の親もそういう意味ではまさに典型的な毒親だ。本人は子供の自尊心を傷つけることを美徳だと思い込み、あくまで善意のしつけとしてやっているのでたちが悪い。

 

よく、救いを求めて鬱などを乗り越えた人の自伝を読んでいると、「よくそんな状況下でそんな行動に移ることができたな」と逆に自信を無くすことがある。こうした方々は、つらい状況をまず受け止め、自他の感情を客観的にメタ認知して負のスパイラルから抜け出し、さらにはその苦しい経験を作品として昇華するという、常人越えしたところがある。これは自己肯定感が低く、かつ、怠け者という私のような人間にはなかなかできない芸当だ。

 

そこで、占いだ。

 

占いに行くと、何もしなくても「これでいいんだ」という自己肯定感を補うことができる。つまり、自分で自分を認めるトレーニング(自己肯定感が低い人間には、これがかなり苦行だったりする)をすることなく、他人から「あなたはこんないいところがある」「あなたはそのままでいい」と認めてもらえるのだ。

 

占い嫌いな人が「そんなの誰にでもあてはまることだろ」「当たり前のことしか言ってないじゃないか」と言うのをよく耳にするが、まさにおっしゃる通りで、占いに課金する人、占いに快感を覚える人は、そもそも「『誰でも持っているもの』を自分は持っていないのだ」という超ネガティブ思考の持ち主なのである。

 

つまりこういう人たちの自尊心は、「計画を立てることができる」「好きなことならとことん集中することができる」といったあらゆる箇所がえぐられた跡――例えるならクレーターが乱立する荒れたクレーのテニスコートのような状態なのだ。

 

クレーのテニスコートを整備したことがある方ならイメージしていただけると思うが、地面の穴をしっかり埋め固めるには、湿っていてきめの細かい土(いわゆるクロツチまたはクロスナ)でまずしっかりと地盤固めをしてから、すこしずつ乾いた砂(いわゆるシロスナ)をまぶしていくのが定石だ。「丈夫な泥団子職人」の間でもこの理論は基礎中の基礎となっていることだろう。

 

前述した、鬱脱出自伝の作者たちは、何らかの手段で自ら調達した、上質なクロツチを使って、自尊心にできたクレーターを少しずつ丁寧に埋めることに成功している。一方、私のような怠け者で意志が弱い奴は、占い師の言葉という、そこらへんにある粗い砂をスコップでざっとまき散らすことで、一時的に自尊心を保っているのだ。

 

ここで、多くの方が「わざわざ占い師なんてうさん臭い奴に金を払わなくてもほかに貴様を肯定してくれる人はいるんじゃないか?」と思われることだろう。しかしながら、見ず知らずの人間からいきなり認めてもらえるというのは、実はかえって説得力があるものだ。

 

占いにハマる奴なんてなんでも信じてしまう単純でおめでたい奴のように感じるかもしれないが、実は逆で、家族や友人などある程度自分を知っている人々からもらう肯定的な言葉、特に抽象的な褒め言葉には懐疑的だったりする。仮に、「あんたはその場の空気を読んで気がつかえる人だよね」と友人に言われたとする。この時、私のように自尊心に穴ぼこが空きまくっているような奴は、友情から来る思いやりに感激することはあっても、その言葉の内容そのものが事実であるという認識をすぐにすることができない。具体的な理由付けなしに褒められても、それはあくまで、自己肯定感の低い私をなだめるすべを持つ友人からの思いやりとしか受け取ることができないのだ(私と長年親しくしてくれている数少ない友人たちは私のこういっためんどくさい性質を心得て転がしてくれるので大変ありがたい)。

 

しかしながら同じことを赤の他人から言われると、そこにはウィットな気遣いがみじんも感じられないので説得力が増して、不思議と「そうなんですよ、私って空気読める奴なんですよ!」と安心して自分を認めることができるのだ。冒頭で述べた、小5の私が感じた「すとん」は、このクレーターが埋まった際の自己肯定感であった。

 

占いの相場は、15分で1000円~4000円だ。「15分で4000円!?正気かよ!?」と思われるかもしれないが、私からすれば、「たった」4000円払えば、ベストセラーの分厚い自己啓発書を読み込んだあと1か月単位で新しい習慣づけのために自分を変えることなく、「私はダメな奴なんだ」という暗い気持ちから解放されるなんともお手軽な代物なのだ。これは野菜をとりたいけど面倒な人が健康サプリメントに手を伸ばすパターンの相似形とも言える。

 

私の経験上、売れっ子の占い師はいいことしか言わない。なぜなら、占いと言っても所詮ビジネスの世界で、売れるためにはいい口コミとリピーターを得ることが重要だからだ。逆に、生真面目なのか占いで出た結果をそのままストレートに伝える人気のない占い師(いわゆるズバリ系)は、気分を晴らしたいだけの私のような人間にとってはただ不愉快な気分にさせられるだけの「はずれ」が多い。所詮科学的な根拠が無い代物だし、タロットに至ってはそもそもゲームのようなものなのだから、お互いが気持ちよく終わればハッピーなのに、所詮占いの結果に固執して客をしらけさせてしまう商売感覚のない人は、どんなに年をくっていようが少なくともビジネスや人付き合いのセンスのない人なので無視することにしている。

 

それでも、「こんなふざけた奴でも15分で4000円稼げるのか……」と人生における気づきをもらえるのも占いのいいところだ。